2020年10月15日

生きがいを感じられる働きかた〜地方の里山にこそ可能性が。内山節さんの記事をみて

投稿者: hi_sakamoto

内山節(うちやまたかし)さんの文章が面白かったので、スキャンしていた記事です。2020年9月30日「北日本新聞」のハーベストタイムから。

内山さんは若い頃渓流釣りが趣味で訪れた里山(群馬県・上野村)で触れた人々の労働観にとても重要なヒントを得たそうです。村では、日常の生活に必要な労働を「仕事」とよび、収入のための労働を「稼ぎ」と呼んでいたことに気づいたといいます。現代社会は、商品経済のもとで賃金労働が肥大化して、つまり村人のいう「稼ぎ」のための労働ばかりになり、本来の人間の暮らしを豊かにする労働がないがしろにされてしまっているのです。

20200930「北日本新聞」に掲載された哲学者内山節さんの記事

今日では非正規化、コスト削減、過密労働等々労働環境の悪化は急速に広がっていて、本来的な人間労働からどんどん遠ざかっています。しかしその一方で、そのような働きかた(若い時代のマルクスの言葉で言えば「疎外された労働」でしょう)から離れて、脱サラなのか、休暇をとっての一時的な参加なのかは別として、ソーシャルビジネスやNPOといった生きがいを感じられる働きの場を求める人が増えていることに希望があるといいます。人を蹴落とすような社会から、自然と人間が共存していくような社会のあり方を求める、それは自然の成り行きだろうと思います。

記事にありませんが、群馬県上野村と東京を往復する生活をされているそうです。上野村は1000人余りの本当に小さな村です。村の資源である木材資源を生かして、木工製品を作り、木質ペレットを熱源としたエネルギーの自給を目指した村づくりに希望があると言います。資本主義の「終わりなき経済成長」から離れて、手の及ぶ範囲、目の届く範囲で経済が循環するローカル経済こそが今後の社会(少なくとも地方)の目指すべき方向性ではないかとの指摘は大事です。

100人に聞く「経済成長についての7つの質問」No.17内山節

内山節オフィシャルサイト

上野村

上野村で行われている自立分散型、温室効果ガスゼロにむけた取り組み(群馬県の発表資料)

秋の山村(南砺市)