2022年7月5日

物価、防衛費、憲法、新しい資本主義ー参院富山選挙区候補の違いの特徴

投稿者: hi_sakamoto

「富山新聞」さんが、参院富山選挙区候補の各6氏(日本維新の会・京谷公友、自民党・野上浩太郎、NHK党・小関真二氏、日本共産党・坂本ひろし、参政党・海老かつよし氏、立憲民主党・山としひろ氏)の政見をテーマ別に分けて一覧にしてみやすく報道していただきました。(6月26日付「候補者に聞く」)

各候補が勝手につくった公報ではなく、報道側が各テーマにそって主張をある程度整理されているので違いが分かりやすいのではないでしょうか

全ての課題を取り上げられないので、3つの課題に絞って関係箇所に色線をつけてみました

■物価高に対する消費税の態度・考え(青線)

■防衛費(軍事費)増額への態度・考え(赤線)

■憲法改正についての態度・考え(黄線)

消費税については、野上は言及なし。京谷、小関、坂本、海老、山は減税(ただし、海老は「時限的」)。坂本は、最賃の引き上げの課題とセットで大企業の内部留保への適切な課税と中小企業への財政支援を記述。消費税の5%への引き下げには、12・5兆円というかなりの巨大な財源が必要で、新しい資本主義の項目にも書いてあるように、大企業・富裕層への踏み込んだ課税を提案しています。(詳細は最下段→財源の一覧表
問題は、「減税」を謳う他の候補や党は、いったいどんな財源をしめしているか、調べてみないと分かりません。

防衛費については、京谷がGDP2%増額には賛成で、野上が5年以内に抜本強化し(党方針の「2倍」をぼかしている)、反撃能力を保有する(先制的な「敵基地への攻撃」の文言をあえて隠している)としています。小関は、2%程度の防衛費引き上げはすべきで、敵基地攻撃能力も当然とし、核武装も議論すべきとしています。坂本はGDP2%で軍事大国化し、消費税増税・社会保障削減をもたらすので反対、海老は2%が当然視野に入るとして容認の姿勢で、は2%には疑問を投げかけつつ、宇宙・サイバーなどの領域やミサイル防衛能力向上を強化すべきで、予算にメリハリ効かせる、としています。
特徴は、周辺諸国の軍事的緊張に軍事力増強での対応は当然だという姿勢がほとんどで、中に核共有=核武装を当然視する議論がめだち怖いですね。

憲法改正については、京谷は緊急事態条項創設などで改憲の必要性と憲法審査会の議論を促進で改憲勢力の先頭を行くという宣言とも言えます。野上は自衛隊明記、緊急事態条項など改憲の必要性を示し、小関は態度不明(書いてあることがよくわからない)、坂本は改憲許さず憲法の全条項を守るとしています。海老は自民党の改憲草案には反対するが、「創憲」で改憲一般は容認、は立憲主義を重視し自民党の改憲案には反対としていますが「9条を守る」という文言はありません。全体として、特徴は、自民党改憲案にいろいろ注文はつけながらも、改憲は既定路線だという感じが強いです。

■新しい資本主義についての問いも大事なので、加えておきます。

新しい資本主義については、京谷が分配重視に疑問だとしながら、企業側の利潤増大を優先するという姿勢が滲み出ています。また減税・社会保険料軽減、教育や出産無償化など、否定している「分配」を持ち出し衆目を集めようという意図が感じられます。野上は、「成長と分配の好循環」というどうとも取れるスローガンや玉虫色の政策が並んでいますが具体的ではないです。小関は消費マインドをあげる消費税減税に言及、坂本は新しい資本主義とはこれまでの新自由主義の継続であり、これを打開するために大企業・富裕層への課税で人々に優しく、強い経済を訴えています。海老は、岸田政権の当初の所得倍増計画の頓挫を批判、外資による日本乗っ取りの危険性にも言及し、は、岸田政権はアベノミクスの延長であり、家計や中小企業を応援、最賃の引き上げで雇用を安定化させるとしています。

「候補者に聞く」を読めば、各党・候補の政策や考えがおおよそ分かるかなと思いますが、紙幅の都合で十分でなかったり、説明が必要だったり、誤魔化している、抽象的だったりする部分もあります。有権者がさらに突っ込んで、政策を深めて選択するとなると、なかなかハードルは高いかもしれませんね。

私としても、出来るだけわかりやすく、発信していきたいと思います。

末尾の、日本共産党の参院選政策で、1つのポイントとなる、政策実行のためにかかる経費と、それを作り出すための財源の提案ほ、非常に重要な資料です。美味しそうなメニューは並んでいるけど、値段はついていないという党が多いと思いますが、ここは責任ある党として具体的に書いていますので注目してください。

ちなみに、「消費税廃止」という政策はとても良いし日本共産党も目指しています。廃止のための財源の根拠について書かれた資料が今手元にないので何とも言えませんが、ゼロにするには25兆円がかかるのです。それをどうするかをお聞きしたいところですね。

京谷、野上氏

小関氏、坂本

海老、山氏

以下は、日本共産党が示している諸政策を実行するための必要な予算(1)と、財源をどこから確保する(2)かを示した表です。

2022年参院選財源一覧