「候補者乱立」「違いわからない」などと報道している場合か!
22日の「富山新聞」は、「6人乱立 かすむ対立軸」と書きました。
この記事に憤って、SNS、ポッドキャストでもつい強い口調で指摘してしまいましたが、反響がありました。
私に言わせると、政策の違いを「かすませている」のは誰か、よく考えるべきだと言いたい。
参院・富山選挙区には、政党では、●共産、●自民、●立民、●維新、●参政、●NHKの6人が立候補し過去最高の立候補者数です。乱立といえばそうかもしれません。しかし、比例代表選挙は、上記の党に加え、●公明、●社民、●れいわ、●幸福、●ごぼう、●くにもり、など15党で、こっちはもっと出ています。
「たくさん出てるから、わからない」という有権者の声は、「あなた方の報道がさっぱりわからない」と言われていることと同じだと考えないのでしょうか。
その自覚がないから、「かすむ対立軸」などと、テンプレート記事になってしまうのではないでしょうか。
公開討論会の報道を二段記事にしかしない「北日本新聞」ー自民党に忖度するのか?
先日の「北日本新聞」(6月14日)が、公開討論会の翌日、その記事を二段の小さな記事にしかしなかったことも、その姿勢の現れではないかと思います。
ある関係者は、「野上さんは忙しくて出られないとおっしゃってたけど、富山県内のいろんな議員さんの会合など積極的に出席しておられた。そっちに参加できるのに公開討論に参加できないというのは解せない」
北日本新聞についても、「野上さんを忖度したとしか思えませんね。読売新聞さんはあんなに大きくしていただいたのに」と悔しさを語っておられました。(と言っても、坂本にしてみれば「読売」さんもまだまだ小さい記事だと思いますけど)
候補者の政策をきちんと取材し、違いがわかるように報道せよ
私が辟易しているのは、記者さんらが、趣味、好きなタレントとか、カラオケの十八番、休日の過ごし方、一生で一番の失敗など、そんなことをあれこれと聞いてくる姿勢です。いや、それは候補者横顔取材だからそういう質問をしていたんですよと言われるかもしれません。でも、大事なのは、そこじゃないでしょうと言いたい。
公示前に、大きな争点となる政策や課題について、どの候補がどんな主張をしているのか、坂本ひろしが現状ををどう捉え、どう改革すべきと考えているのか、と掘り下げた質問ーツッコミを入れて、坂本がタジタジになるほどのツッコミーは、ついに一度もないままでした。
せいぜい「一番訴えたいことは何ですか?」
この質問、安易ではないでしょうか。もっと考えて質問してください。
公示前に候補者の違い、主張の対立軸、を鮮明にする努力をしないで、有権者に「党や候補の違いがわからない」と言わせ、もっともらしくそれを報道するような姿勢は、手抜きと言っても良いでしょう。
有権者の違いを分かりにくくしている最大の要因は、どこにあるのか、考えるべきでしょう。
(さかもっち〜ずトークでは、「分かりにくくしている原因のもう1つは、政党・候補者側にある」と指摘していますので付記します。最後のリンクからポッドキャストがお聴きになれます)
なお、21年前の参院選(2001年)時に、「北日本新聞」が主催して、坂本ひろし×野上浩太郎×草嶋安治の3氏徹底紙上討論をやったことがあります。
この記事は、今の現状からみると気骨ある記事と言えます。当時の小泉旋風と言われる「改革」ブームで政治的にも非常に変化のある選挙で、実際に小泉自民党が大勝するのです。討論会のテーマは安全保障、社会保障など多岐にわたるもので、3氏が自分の主張をし、他の2氏がそれぞれツッコミ、またこれに回答するということを3人分やるのです。こうやって、諸課題についての3氏の違いを明確にした、素晴らしい記事でした。
「乱立」などという安易な表現を使って、6氏の違いをまじめに比較検討できるような記事づくりに手抜きをしている現在の地方各紙は、これくらいの紙面を作る気概をもって、ことにあたってほしいと思います。