「核共有」の石破茂氏は、被団協に祝意を述べる資格なし
昨日、日本被団協(日本被爆者団体協議会)が2024年のノーベル平和賞を受賞しました。
おめでとうございます。被団協は、広島・長崎の2度の核兵器被害を受けた日本で、長年にわたって原爆の悲惨さを訴え続け、核兵器のない世界を目指して運動してこられた団体です。
今日、ウクライナ戦争においてーチン大統領が核兵器の使用を公言し、日本の新しい首相となった石破茂氏の持論は「日本も核共有すべし」です。ガザへのイスラエルのジェノサイド、レバノンへの空爆など、平和が脅かされている情勢が続いています。
そうした中で、今回の被団協の同賞の受賞は、平和を願う人々、平和を求める運動への大きな励ましになります。そしてまた、核兵器禁止条約のさらなる広がりへの励ましにもなります。
受賞を受けての被団協の記者会見が行われました。そこで、代表委員の田中照巳さんの発言に注目しました。(1時間35分以降)
受賞当日、石破首相から電話があったが、電池切れで翌日(今日)再び電話があったというのです。話を要約すると、
石破首相は、どうしても話をしたいと電話をしてきた。首相は冒頭、小学校6年の時、原爆の被害の写真をみせられて怖くて眠れなかった、学校の旅行で広島の原爆資料館に行って、核兵器は絶対になくさらないといけないと確信したと切り出した。しかし、今日の国際状況のなかでは、現実的な手段をとっていかないといけない(つまり核兵器をすぐには無くせない)。禁止兵器条約について聞こうとしたら、「また今度、ぜひお会いして話したい」というので、了解しそれで電話を切った。
政治のトップが石破さんのいう核共有なんて論外だ。非核三原則を見直すというが、怒り心頭だ。
核兵器の恐ろしさを小さい時から知っているというなら、本当に核兵器をどうするか考えるべきだ。
今度会ったら、徹底的に間違っていると説得したい。核共有などとんでもない、国内に核を置いてそこから発射するというのだから。持ってはいけない、使っていけないというのに、冗談じゃない。
事務局次長の和田征子さんがおっしゃった言葉も印象に残りました。
日本政府は核が使われなかったということで、その不使用の歴史を伸ばすのだ、持っていてもいいが使わなければ良いだろう、考えだ。使わせないようにしたのは、被爆者の証言などの運動だ。核による抑止力ではなく私たちの運動が抑止力になっていた。私たちの行動が抑止力なったといいたい。
「核共有」を持論とする石破茂氏からの祝意を、被団協側が素直に受け入れられないのは当然でしょう
田中さんの発言に見られるように、核兵器禁止をもとめる団体や人たちの多くは、核兵器を世界から1発もない世界を目指している。特に、唯一の原爆被爆国の日本の運動は、いろいろな潮流はあると思いますが、核兵器の廃絶、禁止を求めているのです。核共有などは、アメリカの核兵器を日本に持ち込むことであり、日本が核の使用のボタンを押す主体になると言うことです。絶対にあり得ない話なのです。田中さんに対して電話口で、現在の世界情勢のもとでは核をすぐには無くせないという立場を語ったのですが、田中さんがお怒りになるのは当然です。
今日(10/12)、総選挙にむけて党首同士の討論会が行われました。日本共産党の田村智子委員長が、石破氏にこの問題に関する質問ー核兵器禁止条約の批准をすべきではないかーを投げかけましたが、核兵抑止が効いていないからウクライナが攻められたといったことを語り、核抑止の有効性を語りました。そうい考えが根底にあるから、彼の持論である「核共有」につながるのでしょう。(28分30秒ごろ)