「また新しく買えばいいじゃない」から、 「また修理し使えばいいじゃない」に変えよう
先日、お気に入りのスノーピーク社のチェアが修理され、生まれ変わった姿で我が家に戻ってきました。新潟県のアウトドラブランド、スノーピーク社はテントやキャンピングテーブルなど高品質の商品を作り続けており、人気のメーカーです。
かつて我が家も子どもたちをつれてキャンプ用品を車に満載し、山へ川へとお出かけしたものです。今では忙しく、キャンプ用具の出番はありませんが・・・。
このチェアは、テレビをみたり本を読んだりくつろいだり、ラップトップPCで仕事をしたりと、屋内で活用する方が多かったのです。しかし、座れないほどに生地が破れて役目を果たさなくなり、いつの間にか忘れ去られていました。同社は自社製品の修理に責任をもつ会社なので、いつかは修理を依頼しよう思っていましたが、なかなか重い腰が上がらなかったのです。6月のふとした瞬間に「えいやっ」と、新潟へ製品を送ったのでした。
その勢いで、パタゴニアの防寒着も修理を依頼しました。
椅子の修理は送料込みで7000円余、衣料品の方は1000円余というものでした。
修理や補修すればモノの機能は復活するのです。
自動車だって例えば10年、20年と長く乗っていくうちにあちこち修理・交換されて、いつの間にか元の素材よりも交換補修した部分の方が多くなることだってあるかもしれません。
直していくうちにそれらはまだら模様になったり、使用感がどんどん出てくるのですが、またそれが味わいにもなるってくるでしょう。そうやって、ものへの愛着が増していくし、所有物が自分の体の一部になっていくような錯覚を覚えるのではないでしょうか。
資本主義による飛躍的な生産力の増大の結果、家電でも衣料品でも生活用品でもありとあらゆるものが安く、高品質の製品が作られるようなるわけですが、それは同時に「たくさん売れて、早く消費され、どんどん捨てられなければならない」現実を生みました。そのような新しい生活スタイル〜20世紀資本主義スタイルと言ってもいい〜が、普通になり、私たちは、修理して長持ちさせ、自分の一部としてモノを育てていくようなあり方を忘れていったのだろうと思います。
今日、気候変動、コロナパンデミックという現実に直面した人類は、改めて生産のあり方、消費のあり方を考える重大な機会に直面しています。その中で、値段は高くなるかもしれないが、生産現場では労働者の権利や生活が守られるよう努力され、素材(原料など)は公平な取引で入手されたものを使い、あるいは環境に負荷を与えないような形で産出されたものを使い、そして完成品のアフターサービス(修理補修体制)を充実させたブランドが、評価を高めるような状況も生まれているのです。そこに微かな希望が見出せるのではないかと思います。