「北日本新聞」候補者インタビュー連載。読者が知りたい内容だったのか
8月15日から始まった「北日本新聞」の衆院選候補予定者のインタビュー記事 衆院選2021 決戦に挑むが26日、富山3区の私の記事を最終として終わりました。
インタビューをされている時から、あまり良い予感はしていなかったんですが、「う〜ん?」という感想です。これは私の分というより1区〜3区を通しての記事の構成に疑問を感じるということで、特に野党側の新人候補を貶めるような作為的な書き方が気になったからです。全体として、自民党が盤石なこの富山県で、野党新人候補にはとても勝ち目がないが、どうやって自民党の得票を超えるつもりなのか?何か策はあるのか?といった調子です。
まず、青山りょうすけさん(わが日本共産党)への聞き方が一番ひどい。「自身が立候補した市議選や県議選で千票台しかないのに、数万票を必要とする衆院選でどうやって勝利するのか」という問いを立てています。しかし、そもそも衆院選と地方選を単純に比べること自体に違和感がありますし、より悪質なのは2017年に青山さんが13500票近くを得票している事実を完全に落としているのです。これはまさに作為的と言われても仕方がありません。謝罪ものです。
越川さんに対しては、知名度がない、50代での出馬は若くない、衆院選出馬は県議選出馬のための手段ではないかとまで聞いています。同様に、富山1区の吉田さんに対しても、市長選に出馬したのは衆院選のためではないかとの質問。こんなことを聞くか?というほど失礼です。坂本に対しても、橘氏とは10万票の差があるがどうするのか、と。質問をした個々の記者の問題というより、編集の最初の段階でアウトラインがあって、それにそって質問をし、構成したのだなと思います。
政治のパワーゲームではなく、県民が何をもとめ、候補者は何を政策として訴えるのか、を記事にすべき
どの候補が強いか、弱いか、今の状況で勝てそうかどうかという、政治通の人が知りたいような情報を、地方紙が発信していてはダメです。
県民は、安倍内閣以来の強権政治や政治の私物化、コロナ対策での無為無策に対して強い不満を持っています。安倍・菅政治のために、明日の暮らしも見えなくなっている人、事業者などなど、生きるか死ぬかという状態にある人も生まれているのです。この先の展望が見えていない中で、どうやったら現状から抜け出せるのかと不安をつのらせている人が圧倒的だと思うのです。だから、総選挙にむけて各政党や候補者は、この政治や社会をどう評価し、どのように変えていくつもりなのかを知りたいと思っているはずです。また、県内の課題・問題をどう分析し、どう解決するのか、一人一人の候補者の言葉を聞きたいと見つめているのです。
私が聞かれたのは、高岡市長選挙で自民党が分裂的な状態になっており、それが選挙にどう影響するかということでした。それも大事な要素かもしれませんが、この富山3区の住民のために、どんな政策が大事だと思うか、3区民の求めるものは何だと思うか?、有権者に何を訴えるのか?ここをもっと聞いてもらいたかったと思います。
私の記事に残念ながら載っていませんが、3区内の政策について重視するものとして聞かれたので、農業について語りました。自民党農政のもと米価下落がひどく、このままでは農業を続けられない、いまこそ国が責任をもって農業を支える施策を実行することが大事だ。他国では公共事業のようにしっかり金を出し、価格保障、所得補償をやっていると強調。農業は国土保全、地域づくりに欠かせない分野であり、今日の気候変動のもとで食料確保や災害対策のためにも農業をおろそかにするわけにはいかない。早急に食料自給率を50%に引き上げるなど、農業を基幹産業として位置付けた政策が必要だ、と。
地方紙は、県民の生活に根ざして政治と暮らしの関係をわかりやすく報道し、それに候補者がどう対応しようとしているのか、この掘り下げが必要ではないでしょうか。
詳しくは、最近始めたポッドキャスト「さかもっちーすトーク!」のエピソード1、2で感想を述べています。
富山3区・坂本ひろし(日本共産党・新人)8月26日
富山3区・橘慶一郎さん(自民党・現職)8月25日
富山1区・田畑裕明さん(自民党・現職)8月15日
富山1区・西尾政英さん(立憲民党・新人)8月16日
富山1区・青山りょうすけさん(日本共産党・新人)8月17日
富山1区・吉田豊史さん(日本維新の会・元職)8月19日
富山2区・上田英俊さん(自民党・新人)8月20日
富山2区・越川康晴さん(立憲民主党)8月21日