2021年9月5日
「パンケーキを毒見する」ー真実に迫れる「しんぶん赤旗」の役割が鮮明に
富山で上映が始まった(といっても1週間ですが)『パンケーキを毒見する』を見てきました。
『パンケーキを毒見する』のCM動画
『パンケーキを毒見する』監督内山雄人さんと、小池晃さんの対談(「とことん共産党」8月10日)
JMAX THEATER とやまでの上映で、9月3日〜9日まで。
菅内閣ができたのは去年の今頃だったなあと思い出した。菅内閣が発足してしばらくは「パンケーキの人」として、菅さんを庶民的だとか、貧しい農家出身の「苦労人」などともてはやされました。二世・三世議員ではないこともあったし、菅さん自らが「ガースーです」などタレントのようにあいさつするなど「苦労人」「庶民派」のイメージを増幅させたのでしょう。テレビを日常の情報源としている何人かの知り合いは、まさにそうした作られたイメージのもとで、安倍さんが酷かったこともあり、すっかり「いい人だ」信じていました。しかし、映画では貧農ではなくてその地域でも成功した裕福な農家の出身であったことを、あっさりと紹介しています。
映画は、現在の安倍政権からつながる菅義偉政権への鋭い批判、風刺が効いた内容でした。学術会議の会員任命拒否問題に見られるように、政権に批判的な人物を調査し、そして人事に権力を行使して介入するという恐ろしい独裁的・強権的政治を浮き彫りにし、自分の意に反する人間は次々に排除するという菅氏の姿を冷徹に捉えています。
また映画では、この間の自民党政治に対し真実に迫ろうとしないメディアに対を、厳しい批判の目で捉えています。かつての戦争の時代に、日本のメディアは「大本営発表」をただ垂れ流すだけで、日本の不利な戦争の情報をもちながら自主規制し、政府の代弁者となっていました。登場した研究者は、首相就任の際に各メディアの記者が無批判にそろってパンケーキを食べながらの取材に応じたことを、かつて戦争に向かっていく中で自主的判断ができなくなったあの大手新聞社の姿勢と同じだ、あの時の再来とも言えると鋭く批判していました。
こうした中で、「しんぶん赤旗」が、真実を追求し、理不尽なことを見過ごさず自民党政治を追及するという姿勢をつらぬけることの意義が明確になりました。
「しんぶん赤旗」日曜版の編集長がインタビューに答え、桜を見る会問題で「しんぶん赤旗」がスクープできた理由を語り、また別の記者が情報公開で得た機密費のお金の動きを丁寧に調べ上げ、国会で小池晃参議院議員がこれを使って徹底追及したことなど、緊迫感をもって描かれています。
菅氏が辞任を決意し、これから9月末の自民党総裁にむけて「ポスト菅は誰か」といったメディアを総動員した大宣伝が強められるでしょう。そうなれば、この映画が批判的に取り上げたメディアの問題点をいっそうあぶり出すために、SNSを中心にした市民メディアによって世論形成をする必要があるでしょう。
映画後半で、投票率アップをめざす若者たちのグループが登場し、討論する場面があります。「政治と自分の生活が結びつかない」、「テレビでは自民党しか見ないし、野党が出るのは追及しているところばかりでネガティブに見える」(という感じの発言だった)といった言葉が交わされます。若者が置かれた深刻な状況、若者が今の政治や社会に展望が見えていない中で、政治の姿をしっかり知らせ、また若者の中で政治・社会の問題が普通に会話されていくような条件づくりが大事だなと思いました。
●見た当日の感想的は話のポッドキャスト
●翌日に、若者の政治意識について考えたことを話したポッドキャスト