2021年9月25日

2050年のCO2実質排出ゼロへ、どのようにすすめるか

投稿者: hi_sakamoto

9月1日に、日本共産党が総選挙政策の第1弾として発表したのが、「気候危機打開に関する日本共産党の2030戦略」です。

笠井あきら衆議院議員が責任者となって、半年がかりでまとめあげられた政策です。現在の気候危機について、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告書は次のように述べています。

「人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない。大気、海洋、雪氷圏及び生 物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れている」

「1750 年頃以降に観測された、よく混合された温室効果ガス(GHG)の濃度増加は、人間活動によって引き 起こされたことに疑う余地がない。」

IPCC 第 6 次評価報告書 第 1 作業部会報告書 気候変動 2021:自然科学的根拠 政策決定者向け要約(SPM) 暫定訳(2021 年 9 月 1 日版)参照

これまで、「温暖化は嘘だ」とか「単なる温度の変化で温暖化はデマだ」などとする意見もかつては多かったようですが、時を経るごとに科学に基づく認識が深まり、上記の陰謀論ともいうべき考えは完全に否定され(かなり以前から否定はされていたが)、人間の影響(主にCO2の排出)が温暖化をもたらす原因となっていることを「疑う余地がない」と断定したのです。

2018年のIPCC「1・5度特別報告」は、地球温暖化の上昇を今世紀末までに1・5度未満に抑え込むためには、2030年までに世界のCO2排出量を2010年比45%減らし、そして2050年までに実質排出ゼロにしなければならないとの警告とそのための行動を提起しました。

2018年IPCC「1・5度特別報告」から

今世界は、その実現にむけて全力をあげなければなりません。ここで手を抜けば取り返しのつかないことになることは必至です。

世界の先進各国はこの警告と行動提起が出るはるか以前から(1・5度報告以前のより低い目標だった時から)積極的な目標を掲げ、実践に踏み出してきました。一方、日本政府の気候危機対策はあまりに立ち遅れていましたし、現時点で掲げられている目標や実行の実態でも、原発依存、石炭火力発電依存の政策を掲げ続けており、世界から大きく立ち遅れています。

今回発表した提案は、これを突破するのための、日本共産党としての攻勢的な内容になっています。

「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」 → 全文はこちら

9月1日の記者会見で志位委員長がこの戦略について語った動画は以下です。

今回掲げた目標は、省エネルギーと再生可能エネルギーへの転換で、2030年までにCO2を2010年比で50〜60%削減すること、さらに2050年までに実質排出ゼロにするものです。

そのための施策として、【①】2030年までに、まずエネルギー消費量を40%減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなう、【②】2050年までに残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロにします。

これが基本姿勢ですが、それを現実にするための様々な角度からの具体化が、「戦略」には詰まっています。

例えば、CO2の排出は、家計よりも産業分野が大きく、その中でもより排出の多い産業や事業所はごく限られていますので、まずはそうしたところから緊急に手をつけていくことが、政策を現実性のあるものにしています。重点の置き方が大事だということです。

また、省エネが耐乏生活を余儀なくするのではなく、むしろ省エネ社会へむけた産業構造の変化、再生可能エネルギーの拡大が新たな産業と雇用を地域に生み出し、持続可能な成長と豊かな生活を実現する力となることを解明しています。

詳しくは、全文をお読みいただければと思いますが、概要はビラやパンフになっています。 → 気候危機打開2030戦略パンフ