2022年1月27日

県内野党共闘の現状と参院選挙区への日本共産党候補擁立

投稿者: hi_sakamoto

2022年参院選の投票日は7月10日(6月23日公示)の線で固まったようですが、もう公示まで5ヶ月を切っているという中で、一人区である富山選挙区に各党が、特に野党がどう臨むかが厳しく問われています。

日本共産党としても、この間の野党共闘の取り組みの発展を踏まえ、引き続き野党候補の一本化にむけての努力を強めていく立場です。この点では全く揺るがず一貫しています。そのためにも、県内各野党が胸襟を開いて率直に意見交換をし、どうやったら現在の与党を少数に追い込むことができるか、そのために富山県ではどのような戦いが必要かを、互いによく検討し、候補者の一本化をめざして努力することが大切だと考えます。

しかし、共闘は相手がある話ですから、どんなに日本共産党の側が歩み寄ろうとしても、向こうが門戸を閉ざしている限りは事態を打開することができません。

北日本新聞が1月半ばから連載した県内各党トップの参院選に臨む姿勢のインタビューが掲載されています。これを読むとほぼ各党の態度が明らかになりますのでご紹介します。(画像を貼り付けておきます。ポイントとなる部分に赤線を引きました)

まず、日本共産党富山県委員会の上田俊彦県委員長です。

ここで明確なように、野党共闘が基本だが、野党第一党の立憲民主党県連との話し合いができていない。「待機主義」におちいらずに選挙区候補を立てて選挙準備を整えながら共闘の努力をするという態度を表明しています。

続いて、社会民主党富山県連合の島村進代表と国民民主党の橋本雅夫県連幹事長。

社民の島村さんは、さすがに野党共闘・一本化をどうしてもする必要があると強調されています。この中で、「鍵を握るのが立憲民主党と連合だ。21年衆院選の敗北を直視し、共闘の協議に応じてほしい」と、野党共闘の協議に全く応じない立民へ苦言を呈しています。

国民の橋本さんは、「政策や考え方が違うから政党が異なるのであり、候補を無理やり一本化して選挙に臨む姿勢には疑問を感じる」とコメントされています。「『反自民』の政党が固まって勝ったとしても、どんな政権になるのだろう」とも言っておられます。

これは率直に言って間違っています。一人区で勝利するには一本化が必要で、そのためには政策が違う政党同士が話し合い、その過程で国民や県民に示す(しかも、自民党に対抗できる=対案となる)統一政策を打ち立て、それを旗印に共闘をするのです。というか、それが共闘というものなのです。

次に立憲民主党富山県連の菅沢裕明代表代行です。

極めて残念な内容です。共闘は「あくまで党本部間で協議することであり、県連が自ら求めて動くことはない」と明言されており、主体的に県内の野党共闘を切り開こうという姿勢は見られません。

2019年の参院選の際、候補者だった西尾まさえいさん(当時は国民民主党、のちに立憲民主党へ移り、同党県連代表)と、わが党候補が競合したため、野党統一候補をつくるためにわが党の側が自主的に候補をおろし、西尾さんに一本化してたたかいました。その西尾さんと日本共産党富山県委員会は、ついに正式にお会いする機会を一度も作れないままに終わりました。西尾さん側から私どもの方へ挨拶に来られることもありませんでした。そして昨年の総選挙の敗北を理由に西尾さんは立民県連代表を辞任されることになったのです。今回の参院選に出られる山としひろ(やま・としひろ)さんが愛知県の市議をやめて参院富山選挙区での出馬を表明されたのが昨年夏でしたが、山さんも一度も挨拶にこられていませんし、お会いする機会を設けてもらえていません。「市民と野党の共闘」こそが、自民王国の一人区で勝利する唯一の方法と言っても良いでしょうが、その道を真面目に追求してほしいと願っています。しかし、願っているだけでは、共闘実現の可能性はほぼゼロだと思います。

昨年2021年の総選挙の画期的な特徴は、市民と野党4等(立憲、共産、社民、れいわ)が、市民連合を介して6本の柱20項目の共通政策で合意(9月8日)し、たたかったことです。しかも「その政策を実行する政権を作ろう」という、6年間の野党共闘をワンステージ引き上げて初めて政権をめざすという方針を確立した画期的な戦いでした。しかし、これが選挙間際(公示は10月19日)だったということによって、候補者一本化も遅れてしまったことがたたかいのハンディになった。そして、政権交代は実現しなかった・・・これが教訓の1つだったのです。

現時点で参院選公示が6月後半になる見込みで、だとすれば公示まで5ヶ月を切っており、もうギリギリの段階です。たたかいのための協議すら開かれないということで、この状態のまま立憲民主の動きをただ受け身で待つだけの「待機主義」(上田)になってしまえば、各野党が比例で有権者へ働きかけ得票を伸ばす運動そのものにも大きなマイナスになるでしょう。立憲民主党県連が党内事情のために共闘へ踏み出さないといことは、県民のことよりも自分の都合が優先されているとみなされることになるでしょう。その立民の動向を待っているような野党(わが党もふくめて)では、これままた県民の信頼を失うことになります。野党はそれぞれ独自の政策をしっかり県民に訴えて、参院選の争点を明確化させる取り組みが必要です。それが県民に対する政党としての責任の果たし方です。

今回、上田俊彦委員長はインタビューで、昨年までは「オールとやまの思いを受け、いったんは候補者擁立を留保して共闘協議を優先させようとも考えた。鍵は立憲だろう」とコメントしています。共闘を促進させようとギリギリまで立憲の動きを待ったが、共闘の意志がみられないために独自の候補を擁立する判断を行い、引き続き野党共闘・候補一本化の道も模索する、としています。

野党共闘には大義がある。しかし現状ではその大義が貫徹される保証がないため、次善の策として党として独自の候補を擁立するというのは、政党としての責任でもあるということです。