2022年4月30日

農業を軽視する国家は破綻する

投稿者: hi_sakamoto

4月30日に砺波市内で行われた農業後援会主催の「語り合うつどい」には、市内外から30名の方がご参加いただきました。
たけだ良介参議院議員とともに、党のこと、ウクライナ問題、農業について語り合いました。

日本中の農村が、後継者不足で草刈りなど農地の管理さえもできなくなりつつある現状です。「肥料、農業資材、燃料などあらゆるものが高騰しているのに、下がるのは米価だけだ」という不満や怒りが日本中に充満しています。農業者が赤字を作りながら農地を維持するような現状は長くは続けられないでしょう。「先祖から預かった田畑だから仕方なく手入れをしているに過ぎない」という、そんな情けない実情を打開しなければなりません。

人がいないために、高齢化した農村では除草剤や農薬に頼らざるを得ません。農地を眺めればあちこちのあぜや土手に黒い色をした除草・抑草シートが見られます。それらも、設置から数年もすれば痛み、紫外線で脆くなり粉々になったマイクロプラスチックとして流れ出していきます。一発肥料(※)もまた、海まで流れつき問題になっています。

グリホサートが使用されている除草剤が日本では普通に売られている。

除草シート

一発肥料

(※)通称一発肥料というのは、プラスティックでコーティングされている肥料で、年に1回だけまけばその後田んぼでじわじわと適度に肥料が溶け出してくれるので、肥料の効果を長く保つことができるそうです。すると、何回も散布する必要がなく省力化できるというもので、農家で好んで使われています。しかし、役目を果たした後もプラスティックの殻は残り、そして排水とともに川に流れ出し最後は海に流れ着くというわけです。

海に流れ着いた一発肥料の殻(プラスティック)

参加された農家から、「こんな、体にも環境に悪いことがわかっていて、本当は使いたくはない。しかし、これに頼らないと農業はやれないんです。どうにかならないんでしょうか」・・・本当に切実な声です。

現在、日本の食糧自給率はカロリーベースで37%という実態です。世界先進国では8割9割当たり前、100%を超える国も多くあります。

他国では、高い関税率によって外国の安い農産物からの攻勢を防御し、国内農産物の価格を安定させるために国の予算をつかっています。そして、農業者の所得を安定させるための補助金も充実させているのです。資料によれば諸外国では農業所得の7割〜9割は補助金となっていますが日本の場合のそれは3割台。ここが先進国と日本の違いです。他国はいわば農業を「公共事業」として位置付けて農業従事者の生活を公が保障し、そのことで農家は経済的な心配をしなくても近隣の農地を耕し管理し、生活の糧を得ることができるというシステムが確立しています。農地や地域の環境の保全は国が責任を果たしているのです。

自民党農政のもとで長年農業を市場開放し続けてきた結果、世界でもっとも市場開放されている国になっています。多くの日本国民は「日本の農業は過保護だから、世界の農業と太刀打ちできないのだ」と思い込まされていますが、事実は逆です。

日本の自動車や家電製品の輸出の条件を守ことと引き換えに、農業市場が開放され外国産農産品で溢れかえる実態になっています。

自民党政府は、農業を壊滅させるようなことをやっておきながら、この危機を乗り越えるには更なる規模拡大だ、スマート農業だ、高級産品で稼げる農業だ、などといっているのは、ちゃんちゃらおかしいと言いたいです。

私は、直ちに自給率を50%にひきあげることを政府の明確な指針としながら、さらに自給率を上げる計画的・野心的な目標設定をおこなうこと、農業予算を抜本的に引き上げ、農家の所得の安定や農産品の価格安定にむけて力をつくすこと、有機農法・自然農法による農産品の普及とそのために学校給食などでの活用を普及すること、地産地消の推進、種や肥料、燃料の輸入頼みの仕組みを抜本的に転換すること、労働条件の改善で長時間過密労働や非正規雇用などの不安定雇用の縮小で、兼業農家が余裕を持って農作業に従事できるようにすること、などさまざまな施策を協力に推進していく必要があると考えます。