教員不足のツケを現場の先生に押し付けるなー産休代替教員の実態を聞いて
先日、学校現場で働く方のお話を聞く機会がありました。ある学校でのこと、産休に入る先生がおられたため本来なら代替教員が派遣されるはずでしたが、それが見つからないということで結局学校内にいる先生方で穴埋めすることになってしまったというのです。
他の先生が多忙を極めている状況のもとで、代わりに決まった方は比較的余裕があるとみなされた女性教諭ですが、説得され断りきれなかったと。その方も、さまざまな条件のなかで必要とされる部署に配置されてたのであり、余裕があるわけでなはかったというのです。
本来こうした代替教員は、当該自治体の教育委員会や県教育事務所などが責任をもって確保すべきものです。それを、「人がいない」、「見つからない」ということで学校現場へ押し付けるのはおかしい話です。
現場の先生方はギリギリのところでやりくりしながら学校業務をこなしています。風呂敷残業当たり前、PTA行事、部活動、地域活動、個別生徒のトラブルへの対応など、勤務時間以外でも相当な時間を割かれています。先生方のご家庭では、お子さん、家事、地域行事などを後回しにしてでも学校の仕事を優先しているのが多くの教員の実態でしょう。
日本教育学会が教員10万人増を提言(2020年5月)
2020年5月に日本教教育学会が提言を発表し、
●教員を10万人(小中学校1校につき3人、高校に1人を配置)
●ICT 支援員、学習指導員を約 13 万人(小中学校に4人、高校に2人を配置)
が必要だと強調しました。
10万人の教員増は、現状の90万人の教員数を1割増やすという控えめな要求なのですが、それでも職員が増えれば現場の負担はどんなに軽くなるでしょう。30人学級、そして世界標準の20人学級へと日本の教育環境を前進させていく突破口になるのではないかと思います。
国の責任で教員増を、予算は1兆円ー日本共産党(2020年6月)
日本共産党は同年6月「子どもたちの学び、心身のケア、安全を保障するためにー学校再開にあたり緊急提言」を発表しています。
提言全文は、→ こちら
提言を発表した記者会見(6月2日)で志位委員長は、「どうやって教員を確保するのか」と問われ、以下のように応答しています。
志位氏はこの間、教職の定年を迎えた20万人程度のうち、教職についていない10万人を教員免許更新制も凍結するなどで確保するとともに、全国の教員採用試験の受験者13万7753人のうち採用者数が3万7080人だとして、採用されなかった多くの若い方々がいると指摘。「十分な処遇を行い、将来の見通しも立つようにすれば確保は可能です」と述べました。「現在教員は約90万人であり、10万人増は1割増にすぎない」と述べるとともに、「必要な予算は約1兆円です。子どもたちのためにそれくらいの予算をつけなくてどうするのか」と強調。「いま学校がこういう状況にあるもとで、志のある方に学校で教べんをとってほしいと政府が呼びかけるべきです。本気で呼びかけ、予算措置をとれば実現に道が開けるし、それを行うことが政府の責任です」と語りました。
全国知事会・市長会・村長会会長も連名で国・文科省へ要請(2020年7)
全国知事会、市長会、町村長会も「新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言」を提出しています。コロナ禍のもとで少人数学級を推進するよう強く申し入れています。
ようやく少人数学級へ踏み込んだが、まだまだこれから(2021年)
2021年、国は、小学校全学年の学級人数上限を現行の40人から35人に引き下げる法改正を行いました。学級規模の縮小は40年ぶりで、「早期に30人学級の実現を」との長年の国民要求にようやく重い腰を上げた形です。とはいえ、教員の長時間労働、国主導で住民の意思を無視した形で行われている学校統廃合問題、非正規教員の正規化などの課題、また、世界一高い学費や貧弱な奨学金制度の改善、高等教育の無償化など、メスを入れるべき課題も山積しています。
ポッドキャスト Podcastでも紹介しています。
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