2022年6月8日

ミサイル危機を選挙に活かそうという与党側の思惑

投稿者: hi_sakamoto

昨日(6月7日)の北日本新聞3面の記事「ミサイル 政権に追い風?」に憤りを感じた方も多かったのではないかと思います。この記事をざっくり要約すると、北朝鮮のミサイル発射によって「防衛力強化をすすめる与党こそ、日本防衛と国民の命をまもる責任ある党なのだ」という打ち出しがやりやすくなって、選挙を戦う上でのチャンスだと考える人たちが多いということです。

2022/6/7「北日本新聞」より

記事にあるように、

岸田首相は北朝鮮のミサイル発射に毅然として立ち向かっているというイメージ発信に躍起になっていること、

茂木敏充自民党幹事長は、ウクライナ危機に乗じた防衛力強化に懸念を表明した立民幹部を槍玉にあげ、「危機感も緊張感もない」として、野党に日本の将来を任せられないと強調したこと、

公明党の関係者の声としてミサイル発射は「自民に味方するだろう。不謹慎だが選挙だけを考えればラッキーだ」という本音を語ったこと、

防衛省内部の幹部が、「防衛費増額のハードルが何一つない経験は初めて。パチンコの大あたりが続いている感じだ」という本音をもらしていること、

を紹介しています。また、2017年の総選挙時も北朝鮮ミサイル問題があり、安倍政権は「国難だ」として解散に打って出て勝利したという「成功体験」があると指摘。たしかに、あの時は「国難だ」と騒いでいました。そして国難のもう一つが「少子化」だったと思います。

北朝鮮がミサイル打ってくれれば選挙に有利になるという本音

一体これらの言動は何なのか。与党側は、明らかに北朝鮮のミサイル問題が選挙の有利な材料だとして捉えていいます。そして、防衛省などは軍備拡大のチャンス到来だ、今踏み出さなくていつやるのか!という調子です。本音が思わず出てしまったという感じでしょう。与党側は、北朝鮮ミサイル問題やウクライナ問題を、強い「追い風」だと感じているのです。

彼らの議論は、「やられたらどうする」「攻められる前に相手を叩く力が必要」というものばかりです。あるいは、「戦争はしたくないし、平和を願うからこそ、攻める力を持つのだ」ということばかりが強調されています。たしかに個別的な侵攻に対する防御、技術論は必要でしょう。しかし、視野狭窄に陥りその部分ばこりにとらわれて、日本国民の命や国土、主権をどのように守っていくかという総合的・重曹的な安全保障政策になっていないのだと思います。

互いに緊張を生み出している要因を取り除き、軍拡に加熱している頭をクールダウンして、軍縮の方が北朝鮮にも(あるいは中国やロシアなどにも)得だろうと思わせるような条件作りをどうやって広げていくのかという努力や追求が欠け落ちてしまっているのです。

今必要なことは、攻められる口実を他国に与えないこと

敵基地攻撃能力を持って(彼らは「反撃能力」だと誤魔化しているが)、先制攻撃ー軍事施設にとどまらず指揮統制機能等をもつ拠点への攻撃ーこそが日本防衛に必要だと言い始めています。そんなことをすれば、日本が「専守防衛」の国から「先制攻撃」の国へと変貌し、相手国(中国など)から日本は侵略の意図をもった危ない国として認定され、いっそう危険な緊張関係を作り出すことになります。これは、日本国民を戦争の危険にさらすことになるのです。

ASEAN諸国の努力に学び、周辺諸国といかに対等・互恵の関係を築き上げるかを真剣に追求することが、憲法9条を持つ国としての責務ではないかと思います。

以下は、5日の北朝鮮ミサイル発射に関する志位和夫委員長のコメントを報じた「しんぶん赤旗」の記事。

しんぶん赤旗(6月6日)

北朝鮮のミサイル発射は許されることではありません。これに厳しく抗議しなければなりません。同時に、道理ある国際交渉を粘り強く進める姿勢も求められます。

ポッドキャストでもこの問題を語っています。


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