2022年9月16日

英国エリザベス女王死去で共和制移行が加速

投稿者: hi_sakamoto

9月8日に死去した英国エリザベス女王の報道が加熱しています。安倍元首相の死去にともなう「国葬」について、世論調査では日本国内では国民の多数が「国葬反対」の意思を表明するなか、岸田政権がこれを強行する構えです。岸田政権の支持率はジリ貧状態です。安倍晋三元首相が、統一教会と根深い関係にあったことも明らかになっており、森友・加計、桜を見る会、公文書偽造などなど権力の私物化等々、安倍氏の評価があらためて問い直され注目されています。これとの対比で、英国エリザベス女王が果たした役割、英国国民から慕われていたことなどが、非常に強調さ報道されています。

しかし、一方で英国の繁栄をささえた植民地支配の歴史とその象徴である英国王室について、その否定的側面も注目されるべきではないかと思います。その点からの報道が日本ではみられない(私が気づいていないだけか)ことに、違和感があります。

ちょうど、9月15日付の「しんぶん赤旗」の国際面にこの問題を考える記事が載りました。女王の死去を契機にかつての英領植民地であったカリブ海諸国ー砂糖や奴隷貿易で英国の繁栄を築く土台となった地域ーが、英国国王を国家元首とする立憲君主制からの離脱を加速させているという記事です。。人民の中に身分・階層を固定化し、国家間の主従関係を形作ってきたものの残滓が立憲君主制という形でいまもなお生き残っているわけですが、それがいよいよ、国家の主権の尊重、民族自立を真の意味で開花させようという21世紀の巨大な流れのなかで、崩れようとしているのです。君主制という古臭い制度が、エリザベス女王の死去をきっかけにさらに加速することでしょう。

しんぶん赤旗9月15日国際面

■■■英エリザベス女王の死去 共和制へ新たな動き■■■

カリブ海諸国 「真の主権国家へ次の一歩だ」

英国のエリザベス女王の死去(8日)を受けて、独立後も同女王を国家元首とする立憲君主制を維持してきたカリブ海諸国が共和制に移行する動きに、新たな注目が寄せられています。

英国ではチャールズ新国王が即位し、オーストラリアやニュージーランドなどこれまでエリザベス女王を国家元首としてきた14カ国が次々と、新国王も同じ地位として維持することを決定。14カ国のうち最多の8カ国を抱えるのがカリブ海地域です。

国民投票へ

このうち、アンティグア・バーブーダ(人口約10万人)のブラウン首相は10日、新国王を認める文書を英国に引き渡した直後の会見で、立憲君主制から共和制への移行は「われわれが真の主権国家となることを確実にする独立の動きを完成させる最後の一歩だ」と表明。共和制移行の是非を問う国民投票を、3年以内に行う考えを明らかにしました。
カリブ海では昨年11月、バルバドス(人口約29万人)が憲法改定などの手続きを経て、エリザベス女王を元首とする立憲君主制から共和国に移行したばかり。この動きは「植民地の縛りを断ち切った」と報じられ、近隣諸国にも広がりつつあります。
3月、中米ベリーズ(人口約41万人)のブリセニョ首相が議会で、「脱植民地化がカリブ海を覆っている。ベリーズが真の独立を手にするうえで次の一歩を踏み出す時だ」と語り、共和制移行を含む憲法改定を進める意向を表明しました。

「撤廃」56%

ジャマイカ(人口約297万人)のホルネス首相は同月に同国を訪問した英国のウィリアム王子(当時)と会談。首相は、ジャマイカが「独立国家に向かっている」と説明しました。8月発表の世論調査結果で、英王族を国家元首とする規定の撤廃に賛成する人が、56%に達しました。
セントクリストファー・ネビス(人口約5万4000人)のリチャーズ副首相は4月、「この数十年の事態の進展がわれわれに教えているのは、わが国が君主制を見直し、あらたな地位に向けて対話を開始すべき時がきたということだ」と発言しています。
現在、英国王を元首に持つカリブ海の8カ国のほとんどで、政府要人を含め共和制移行が声高に語られています。
英タイムズ紙電子版は13日、カリブ海での英王室からの「離脱の殺到」が起こる可能性があると報じています。その中で英連邦研究所のフィリップ・マーフィー所長は、こうした動きは「女王死去の前にすでに始まっていた」と指摘。過去の奴隷制や植民地主義への賠償を求める運動、黒人差別に反対する抗議行動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大事だ)」などが結合し、英王室離れに「拍車をかけている」と述べています。</div