2023年1月18日

社会問題として総合的に捉えた対処をー『盗撮をやめられない男たち』を読んで

投稿者: hi_sakamoto

わが党の地方幹部が、盗撮という犯罪を起こし逮捕される事態となりました。ネット上ではさまざまな議論が起こっており、党内外から厳しい意見が寄せられています。

盗撮は犯罪であり、そして被害者がいます。だからこそ、被害者の方々への謝罪と共に、今回党としての最も重い処分である「除名」という決定が下されたのだと思います。それは当然のことだと思います。ただ、今回の事件の詳細も当事者の実態もわからないため、同じ党とはいえ他県組織のことを外野から判断することは難しいと考え、個別具体的な事柄については言及はしません。あまりにショッキングな事件であるために、感情的な議論が起こったり、この機会に日本共産党を貶めるような言説が乱れていることには注意したいところです。

こうした問題にどのように対処する必要があるのかー結論から言うと、本当の意味で「盗撮」行為をなくしていくためには、「盗撮」行為とはそもそもどういうものかを社会的、医学的、福祉的な観点から総合的にとらえた上で、組織としての改善策を具体化すること、さらに社会問題としての解決策・政策提起もしっかり見据えて、問題に臨んでいくことが大事だと思うのです。被害に遭われた方々への真の謝罪とは、深く頭(こうべ)を垂れ誠意をみせ、加害者を厳しく処分するということだけでは不十分だということを強調したいと思います。

そう考えるに至ったのは『盗撮をやめられない男たち』(斉藤章佳著、2021年、扶桑社)という本の存在です。ネット上の議論の中でこの本のことが紹介されいて、Amazonの古本を探したところ、富山市内のお店に1冊売られていたことがわかったので、すぐに購入しました。
ここには貴重な分析と「盗撮」依存からの回復のための実践が詳細に記されていたのです。

著者の斉藤章佳さんは、「アジア最大規模」という依存症治療施設・榎本クリニックで保健福祉部長をされているそうです。精神保健福祉士、社会福祉士とのことで、アルコール、ギャンブル、薬物、摂食障害、性依存、万引きなどの依存症の治療をされています。
盗撮をやめられない男たち目次

読んでの感想(全文)は、noteに譲りますが、最後のまとめ部分の記述のコピペしておきます。

「盗撮」は、性欲を抑えられないだらしない男の問題という捉え方では、正しい対策・抜本的解決が導きだされません。そうなると再発を導くことになり、結果として被害を拡大させることになります。厳罰主義や社会からの排除だけでは、解決がつかないと思います。「盗撮」行為が、依存症という病気によって引き起こされているということをきちんと踏まえたうえで、対策がとられるべきです。また、痴漢や盗撮が軽く扱われ、時には容認さえするような社会の現実があり、そのもとで、女性に対し、盗撮や痴漢、性暴力などの被害から常に身を守らなければならない緊張状態を強いていることを認識しなければなりません。そうした社会問題として盗撮問題をとらえ、解決の努力を強めなければなりません。同書は、依存症問題で最先端の実践している専門家によって書かれたものであり、大変優れた内容です。より多くの方々に手に取って読んでいただきたいなと感じました。