2024年2月20日
「災害安全神話」が地震対策の遅れを生んだのではないか
能登半島地震の直後、富山県内でもあちこちで大渋滞が発生しました。学校や公民館などの避難所が施錠されたままで、担当者不在のため、ドアガラスを割って入ったり、毛布や食料の備蓄がぜんぜん足りなかったりと、緊急対応が極めて脆弱だったことが浮き彫りになりました。
そうした背景に、「災害安全神話」があり、日頃からの備えを弱めた要因になっていたのではないか。
「富山県の企業立地ガイド」からそれを読み取ることができます。
ご覧いただいたらわかるように、富山県は地震が少ないところ、津波は有史以来ほとんど発生しておらず、せいぜい数センチだという調子です。
さらには、「雪が少ない」とまで書いています。(最近は、温暖化だからと注釈を添えています)
このようにして、企業誘致のためにいかに災害が少ない、というもとを盛んにアピールする内容になっています。他のページでは、地理的条件、環日本海交流の中心であったり、日本海側屈指の工業集積地で、医薬品製造業、機械金属、食品、繊維、化学工業の集積していること、教育先進県、、、、など魅力を押し出しています。
こうしたことが、大地震の備えを進める上で、緊張感を低下させたり、地震対策推進を図る上で大きな影響を与えていたのではないでしょうか。
「わが県は地震が少ないところ」アピールは、実は富山県だけでなく、群発地震が続いていたお隣の石川県でもほとんど同じだったことも、おどろきでした。
さらには、あの「熊本地震」が起きた熊本県をはじめ九州各地の県でも、同じように「地震が少ない」「災害が少ない」というセールスをしていたのです。
「志賀原発をどうしても再稼働させたい」という力が、こうした「災害安全神話」を作り出す背景になかったのか、そう勘ぐりたくなります。