富山県民なら是非みておくべき傑作、映画「はりぼて」
今日ようやく富山市「ほとり座」に、映画『はりぼて』を観にいってきました。
これは傑作です。富山県民なら視聴義務があると言ってもいいくらいです。【感想・レビュー】
地元富山県の「チューリップテレビ」のキャスターらが、政務活動費を不正取得した富山市議らを徹底取材した映像をつなぎ合わせ、1本の映画に仕上げたものです。でっち上げた議会報告会への資料作成費用や茶菓子代、行ってもいない視察費用の不正請求などなど破廉恥極まる不正取得のオンパレード。突撃インタビューによってその呆れた実態が明るみなり、市議や関係者の慌てふためく姿、つじつまの合わない説明が画面に映し出されます。疑惑市議や市職員と対峙し、隠された核心部分を引き出そうとする記者になったような気分で、臨場感ある作りになっています。
富山県民として恥ずかしい事件でしたが、その実態を「これでもか」というくらいに暴露します。
前半、市議会本会議場で、当時日本共産党の市議だった中山雅之さんが追及する後ろ姿と、それに答える森雅志富山市長の人を食ったような答弁態度が映されました。森市長は、市議らの不正請求問題の節目に度々登場しインタビューを受けます。市民の批判が高まる中、議員報酬の値上げを答申した審議会の報告書をうけて、市長は報酬値上げ条例案を提案するのですが、これに対して「手続き」論をたてにして条例案を提出した自らの責任についてはまったく不問に付すという態度なのですが、市長の尊大さがよく現れており見ていて気分が悪くなりました。
記者が疑惑市議が議会報告会を開催したとする公民館の使用履歴を検証するため教育委員会に情報公開請求をします。ところが、今度は教育委員会の担当部署から「調査されている」ことが議会事務局に伝わり、さらにそれが市議側へ伝えられるという事件が起きます。それが、市議らの業者への口裏合わせにつながっていきます。誰がどんな内容の情報を公開請求しているのかが、市役所内で部署横断で伝わった重大問題ですが、市長は一貫して「私がとやかくいう問題ではない」という態度です。発端となった議員報酬を上げる条例案についても、「答申を受けて、それにもとづいて提出しただけだ」という森市長の対応は、責任逃れと言わざるをえません。そもそも報酬値上げを答申した審議会が極めて怪しいことは映画が鋭く突っ込んでいます。非公開で2度、合計3時間しか行われておらず、その構成メンバーの半分が自民党に深い関係のある人物です(パンフ画像参照)。「私はお決めになったことを粛々と進めているだけ」「議会のことだからコメントは差し控える」と問題をはぐらかす姿はおかしい。政務活動費の不正取得は市の予算を食い物にしていた案件ですから、むしろ市長はその解明に徹底的に臨む必要があるのではないでしょうか。
監督の一人である五百旗頭幸男(いおきべ・ゆきお)さんが、涙ながらにチューリップテレビの退職を決意する場面が収録されています。もう一人の監督、砂沢智史さんも、同社社長付きの部署へ異動となるなど、局内でもおそらく表には出せない様々な問題や葛藤があったようです。全国一高い自民党組織率の県で、県都富山市でおこった自民党会派を中心とする政務活動費不正請求問題です。報道側へも相当な圧力がかかっていたことは想像に難くありません。そうしたなかでも、メディアとしては一番歴史の浅いチューリップテレビがもっとも踏み込んだ報道を行い、そしてスタッフらが大胆かつ鋭い追及の先頭にたっておられたことは、メディアの矜持を守ったとも言えるでしょう。
是非多くの方にみていただきたいと思います。11月20日までなので、あと二日です。19日、20日には夜の部もあるようです。ぜひ視聴いただければと思います。
日本共産党の富山市団日本共産党の富山市団は当時、赤星ゆかり市議、中山雅之市議らが、その後の補欠選で当選した小西直樹市議、吉田修市議らも加わり、疑惑解明に奮闘していたことを付け加えておきます。