2020年12月26日

少人数学級を強力に推進を!新田八朗県知事へ2021年予算要望

投稿者: hi_sakamoto
12月25日、党富山県委員会は2021年度県予算に対する県知事宛の要望書を提出、新田八朗県知事と懇談しました。例年県の翌年度予算策定のこの時期に合わせて要望を行うのですが、新県知事に対する初めての交渉でしたので期待感と緊張感が入り混じった中での懇談となりました。
党県委員会からは上田俊彦県委員長、ひづめ弘子県議、津本 ふみおの両県議と、青山りょうすけ衆院富山1区予定候補、 私坂本ひろし(衆院富山3区予定候補)、折田誠党県自治体部事務局長(県常任委員)の6人が参加しました。

新田八朗県知事に、35人学級の早期実現を強く要望

 交渉ではまず上田委員長が冒頭挨拶、「11月の県知事選挙は『県政を変えてほしい』という県民の声が新田さんを押し上げた大きな要因であり、これを真摯に受け止めて来年度予算に反映してほしい」と強調。コロナ禍のもとで社会や政治の原点が問われており、価値観が大きく変わる時代であること、知事は改憲に前向きということも聞いているがむしろ今の現実政治が日本国憲法が定める生存権、法の下の平等、男女平等などから大きくかけ離れている点を踏まえて、憲法の立場で県政をすすめることが大事であること、地方自治法で定める「福祉の増進に努める」という観点も県政には求められており、利潤第一ではない地方政治への努力をもとめたい、と話しました。

 交渉では、津本県議が18項目の重点要望のポイントを説明、私はその中の10番目「少人数学級の実現」についての要望を補足し、以下の趣旨で知事に強く求めました。

重点項目の10番目
少人数学級の実現を国に強く働きかけるとともに、県独自としても35人学級の対象学年の「年次進行による拡充」について新年度には必ず着手をすること。また35人学級を選択しやすいよう、選択した学校には学級担任分の正規教員を増員配置すること。
 知事選の中で新田さんが「少人数学級」を強調されたことは本当に心強いことです。先日政府は、35人以下学級を小学校2年生を手始めに5年間かけて6年生まですすめていくという方針を示しました。40年かかって遅すぎたとは言え基準を変えたことは大きな意義がありますが、しかし5年かけて実現するということや中学校は対象になっていないなど問題点があります。そこで、是非県としての独自の対策、国の対策に上乗せしてより踏み込んだ少人数学級対策をすすめてほしいのです。私は射水市のPTA役員を務めていることから市内の各地の実情もお聞きしています。例えば大門小学校や大島小学校は比較的大きな学校で、1クラス人数が35人を超えるクラスが3〜6年生で増えていくのですが、この二つの小学校の生徒は大門中学校に進みます。しかし中学校では少人数学級ではないのです(県は、一部選択制で1年生のみ35人以下学級のころもある)。とくに大門中学校は生徒数が多い学校なので、クラス人数は他に比べても多いのです。すると、政府の方針通り35人以下数学級を高学年へ順次すすめていくとしても、今の大門小や大島小の中・高学年以上の生徒たちは35人以下学級の対象にならないまま毎年進級し中学校へ行くことになってしまい、少人数学級の恩恵を受けないままに高校に進学することになってしまうのです。コロナ禍のもとで生徒たちの心の問題、いじめの問題、コロナ感染防止を強化するということを考えるなら、少なくとも小学校については全ての学年で一気にそれを実現していただきたいのです。
 射水市内の小中学校の生徒数とクラス数の資料を眺めていてわかるのですが、生徒数が多くなるほどクラスの平均人数が多くなります(これは射水に限らずどの市町村でも同じです)。射水市の小学校は15校あり1クラス平均23・3人、規模が大きくなっていくと、例えば小杉小学校(全校生徒586人)で1クラス平均26・6人、大島小学校(同640人)で1クラス平均27・8人、大門小学校(同733人)で1クラス平均28・2人と増えていきます。射水市の中学校は6校あり1クラス平均31・4人という計算ですが、小杉中学校(同697人)で1クラス平均34・8人、大門中学校(同788人)で1クラス平均34・26人と、クラス人数が大きくなります。
火爪弘子県議の12月県議会での質問に対する県当局の答弁では、富山県内の小学校全てで35人以下学級を実現するためには必要な学級担任は45人(3・9億円)、中学校では60人(5・2億円)という試算を示しました。富山の将来の担い手である今の生徒の教育環境を整えること、つまりどの子にも目が行き届く少人数教育が行われることはとても大事な先行投資といえます。
日本の政府がようやく35人学級に言及したとはいえ、世界から見て周回遅れ、いや2周遅れといってもいいくらいの遅さです。20人学級というのが世界標準になりつつありますので。(下図参照)

サイト「教育とICT Online」でOECDの2020年版「図表でみる教育」についての記事から
https://project.nikkeibp.co.jp/pc/atcl/19/06/21/00003/091400129/

参照サイト「教育とICT Online」の記事では、1クラスの生徒数は、「日本は小学校が27.2人、中学校が32.1人で、OECD各国の中でも最も多いレベル。OECD平均は小学校21・1人、中学校23・3人」と解説しており、日本が圧倒的に多人数の学級なのです。
同記事で「2017年には、初等教育から高等教育に対する公的支出総額は、OECD諸国平均で政府総支出の10.8%を占めており、その割合が最も低かったギリシャで6.6%、最も高かったのはチリで17.4%、日本は7.8%だった」との記述しているように、日本の政府の教育にかける予算が少なすぎるということが一番の原因です。
 だからこそ、富山県としては、国の施策に独自に上乗せをして予算をつけ、少人数学級を一気に実現するくらいの思い切った判断を知事にもとめたいのです。
 この日は、新型コロナ感染が急速に拡大し、これを受けて県として「富山アラート」を発表したばかりでした。知事はそのことにも触れながら、「共産党の皆さんのご貴重なご意見をよくお聞きし生かしたい」と述べるにとどまり、こちらの要望について具体的なコメントは避けました。今後の論戦や運動が大事になってくると思います。
要望項目は以下の168項目、全文コピペします。
( はじめに )新田県政がスタートして、早くも2か月が経過しようとしています。
先の知事選挙の結果は、県民が「経済の停滞」「広がる格差拡大」「不正・腐敗が続く政治」からの転換を求めた結果でもありました。わが党も、新田県政のもとで「県民が主役」の県政への転換を心より期待いたします。
新田知事が初めて編成される2021年度当初予算が、アベノミクスと新型コロナ感染症で冷え込む県民の暮らしと地域経済を、直接かつ力強く支援するものとなることを心より期待いたします。さて、地方自治体の主たる役割は「住民の福祉の増進をはかること」(地方自治法第1条2項)にあります。国の政治が県民の福祉と暮らしに冷たい時に、地方自治体は住民を守る「防波堤」としての役割を果たさなくてはなりません。
菅政権は発足後3か月余り、コロナ感染を抑えるためのまともな戦略を持たず、PCR検査方針は自治体まかせ、専門家の意見も聞かずGoToキャンペーンを強行してきました。来年度政府予算案と今年度第3次補正予算案を見ても、全国知事会などが要望してきた医療機関への減収に対する支援策はなく、中小企業の融資制度は「経営転換」などの条件をつけるもので、持続化給付金も1回で打ち切ろうとしています。期待された35人学級の実現についても新年度は小学校2年生だけで、全体で教員数も実減となり、文教予算もマイナスです。また、政府は75歳以上の医療費2割への負担増を閣議決定し、来年の通常国会に法案を提出しようとしています。
加えて、政府の成長戦略会議の民間委員には、元経済財政担当大臣の竹中平蔵氏や、中小企業淘汰を主張するデービッド・アトキンソン氏が起用されるなど、格差拡大の新自由主義的な経済政策が心配されています。こうした状況のなかで、県の予算編成にあたっては特に、
第1に、新型コロナ感染対策に万全を期すこと
第2に、県民と市町村の要望に応え、特に福祉や教育の充実をはかること
第3に、経済政策にあたっては、県内中小企業や農林水産業を助ける地域循環を重視すること
第4に、憲法を順守し平和を守る外交の展開と、国民の暮らしと環境を守るため政府に対し積極的な働きかけを行うこと―を要望するものです。以上の立場から、以下の186項目の要望を提出いたします。十分ご検討いただき、予算編成のなかで反映いただきますよう、よろしくお願いいたします。
【重点要望項目は次の18項目】
1. 感染拡大を抑制するために、感染急増地域を対象に大規模なPCR検査をすること。また、重症化リスクのある医療、介護施設等の一斉定期検査を躊躇することなく実施すること。
2. 持続化給付金は一回限りとせず、コロナ収束まで事業を維持できるよう、継続的な支援を国に求めること。県としても、コロナ感染でダメージを受ける零細企業のための独自支援策を講じること。
3. 新型コロナ患者受入れの有無に関わらず、医療機関の減収補てんを国に強く求めること。また、介護や障害者福祉施設についても減収補てんを国に求め、県も補う立場で支援の上乗せをすること。
4. 新型コロナ感染症に関わる介護事業所の特例請求分は県が独自に負担して支援をすること。
5. 新型コロナ感染症対策を機会に県衛生研究所の体制を増員すること。また厚生センターについてトレーサー増員など体制を強化すること。
6. 厚生労働省が再編統合の検討を求めた公的病院を守るとともに、県内病床の無理な削減をめざすことなく、住民や医療機関とともに地域医療を守ることを最優先した地域医療構想の検討を行うこと。
7. ひとり親家庭への支援について、国の追加支援金支給に加え、県としてもさらなる支援をすること。
8. 県の乳幼児医療費助成の対象を中3まで拡大し、市町村の事業を思い切って支援すること。また、所得制限を廃止すること。
9. 75歳以上の医療費2割負担への引き上げをやめるよう国に強く働きかけること。
10. 少人数学級の実現を国に強く働きかけるとともに、県独自としても35人学級の対象学年の「年次進行による拡充」について新年度には必ず着手をすること。また35人学級を選択しやすいよう、選択した学校には学級担任分の正規教員を増員配置すること。
11. スクールサポートスタッフは来年度以降も引き続き配置すること。
12. 「発信型の英語」に対応する小中学校のALT(外国語指導助手)については、市町村が活用する民間派遣のALTについても県からの財政支援を行うこと。
13. 国の給付型奨学金制度の対象が限られており、対象者の大幅増を働きかけるともに、県としても給付型奨学金の創設をはじめ、県内学生への生活支援を検討すること。
14. あいの風とやま鉄道駅構内のエレベーター設置を促進すること。
15. 女性副知事の登用についてはOGを含めて県庁内部から人材を抜擢し、部長をはじめとした管理職への女性登用を進めること。
16. 県の経済政策の柱に、県民生活と家計の「成長」、地域循環型経済、小規模事業者支援の視点をしっかり据えること。
17. 「とやまゼロカーボン推進宣言」、IPCC報告が提起する「2030年までに2010年水準から45%削減」を踏まえ、「新・とやま温暖化ストップ計画」で掲げた温室効果ガス30%削減の2030年度目標を見直すこと。
18. 非核平和富山県宣言の県議会決議を実践する立場から、核兵器禁止条約の批准を国に求めること。

( 分野別要望項目 )

(1)新型コロナウィルス対策の強化を

1. 介護施設での新規入所者や希望する職員に対するPCR検査実施について周知徹底すること。
2. 感染者に対する不要な差別や攻撃は「人権上の問題だけでなく、コロナ感染対策としても百害あって一利なし」というメッセージを県として積極的に発信すること。
3. 全国一律のGoToトラベルについて、都道府県単位で観光振興を支援する方法に見直すよう国に求めること。
4. コロナ禍の公共交通の減収に対し支援をすること。バス、タクシー業者に対して、車両リース代などの固定費を支援すること。

(2)県民の暮らしを応援し、消費購買力の回復を

5. 消費税を5%に戻すことを政府に働きかけるとともに、法人税減税中止や富裕層への課税強化などによる代替財源の確保を求めること。
6. 消費税10%への増税で、県民の実質賃金はさらに低下し、年金の受取額も減少している。県民の暮らしを直接応援する施策を充実すること。
7. 県内経済界に従業員の正規雇用の拡大と、内部留保を活用した大幅賃上げを働きかけること。
8. 最低賃金を1000円以上に引き上げるよう働きかけるとともに、中小企業が賃上げした部分への支援を行うこと。また、「富山県公契約条例」を制定すること。
9. 会計年度任用職員のうち最低賃金ギリギリになっている職員の時給を大幅に引き上げること。
10. 県職員の長時間残業を是正し、地域手当は県内一律支給とすること。
11. 富山労働局と連携し、長時間残業の是正とブラック企業対策に全力をあげること。
12. 「労働ルールブックとやま」の充実をはかり、県内高校、短大、大学での配布や説明会の機会を増やすこと。学校教育において、労働法制に関する教育の機会を増やすこと。
13. 県内市町村による住民税・国民健康保険料(税)への機械的差し押さえの増加を是正し、生活の苦しい滞納者への個別的対応を指導するとともに、課税免除や分納方法などの周知に努めるよう働きかけること。
14. 県西部水道水供給事業における受水団体の負担を引き続き軽くすること。境川ダムの未稼働分については他用途への転用を検討すること。

(3)「地域循環型経済」を重視し、県の産業を元気に

15. 産業政策の重点を、多国籍企業の利潤追求やグローバル競争重視から、地域循環型経済、地域内再投資の考え方に移すこと。
16. 日米貿易交渉中止を働きかけること。富山県農業への影響を正確に直視し、国に再検討を求めること。
17. 農林水産業と第二次産業、自然エネルギー開発と観光、福祉などを結合した地域循環型経済のモデル地域を、市町村と協力して積極的につくり広げること。
18. 県内ものづくり産業支援のために、県が市町村とともに中小零細企業を訪問する悉皆実態調査に取り組むこと。
19. 「県中小企業振興条例」にもとづく県民会議の活用を拡大し、課題別分科会の討論や取り組みをさらに充実させ、いかすこと。
20. 県の地元中小企業への発注率について目標を設定し改善すること。
21. 観光における「地元調達率」「地域調達率」を可視化し、必要なものを地元で生産して、利益とやる気を地域に循環させ、活力も高める取り組みに挑戦すること。
22. 再エネ電力を集めて小売りをする、県あるいは市町村も出資する地域エネルギー会社の設立について、県として研究検討すること。
23. 小水力発電や太陽光、地熱発電など、企業局がつくった電気は地域分散型で供給できるように取り組むこと。
24. 県内商店街支援と零細な建設業者を支援するために、「商店街リフォーム助成制度」「空き店舗リフォーム助成制度」を創設すること。
25. 入札資格のない小規模事業所でも県の随意契約に参加できる「小規模事業所登録制度」を実施すること。
26. 「とやまの木で家づくり」事業を拡充し、県産材の利用促進をはかること。
27. 地籍調査の遅れ克服のために、市町村とともに取り組むこと。
28. 県制度融資における税金完納要件については、機械的な対応を改め、分納計画にもとづいて納入している業者も融資の対象とするなど、柔軟に対応すること。
29. 園芸作物の1億円産地づくりとあわせて、家族経営を含む農家での園芸作物生産を支援すること。
30. 学校給食の地産地消をすすめ、学校給食に使う園芸作物の供給体制を抜本的に強化すること。
31. 学校給食への使用拡大など、県内産豚肉の県内消費拡大のために支援すること。
32. 県産小麦の生産拡大に取り組み、学校給食の麺やパンへの使用拡大にもつなげること。
33. 県農業振興センターなどの技術普及員を増員し、技術指導体制を強化すること。
34. 薬用作物の生産拡大に取り組むとともに、県産シャクヤクのブランド化と、県産薬用作物の「富山産」としての商品化を推進すること。
35. 農家の高齢化に伴う農業機械による事故を防ぐための研修などに、助成を行うこと。
36. 土壌改良資材の購入に対する県独自の支援を復活させること。
37. 中山間地域での鳥獣被害対策を強化し、総合的な被害対策への助成を拡充すること。コロナ禍で稼働していないジビエ加工処理施設への支援を行うこと。
38. 県種子条例にもとづき、県が引き続きこれまでどおりの役割を果たすとともに、県内の優良種子生産に県が、責任をもって引き続き取り組むこと。県の奨励品種の種などの民間への提供は、将来にわたって行わないこと。
39. 黒部川のダム連携排砂の富山湾への影響を最小限に食い止めるため、可能なかぎり年数回出水期にゲートを解放し、自然流下に近づけるよう求めること。
40. 黒部川のダム排砂で、漁業者は「濁水による魚類等への直接的・間接的影響調査」を求めている。排砂実施機関に調査を実施するよう働きかけること。

(4)医療・介護・福祉の充実を

41. 国の社会保障予算の自然増抑制に反対し、生活保護費の段階的削減を行わないよう国に働きかけること。
42. 政府が計画する介護の生活支援サービスの上限設定や時間短縮など、利用制限や負担増の動きに反対すること。
43. 病院・介護施設などの消費税負担の解消を国に求めること。
44. 特別養護老人ホームの待機者の解消をめざし、特養ホームの増設を行うこと。所得の低い高齢者が入所できる施設の建設にも取り組むこと。
45. 介護報酬の大幅引き上げを国に求めるとともに、その影響を調査する介護実態調査を実施すること。
46. 介護人材の確保のために、国にさらなる処遇改善を働きかけること。介護報酬の算定に組み入れる方式では、介護保険料の値上げにつながるので、国や県による交付金としての支援制度とすること。
47. 介護人材養成校の学生用の奨学金を、支援額をふくめて拡充すること。
48. 要支援1・2の通所介護・訪問介護の市町村総合事業の実態を県独自につかみ、国に改善を働きかけること。
49. 成人患者のための、てんかん診療外来を、県立中央病院ないし県立リハビリテーション病院に開設すること。
50. 障害者サービスの利用者が、65歳になっても必要に応じて引き続き同じサービスが受けられるよう、柔軟な対応を行うよう市町村に周知・徹底すること。
51. 「富山マラソン2021」でも、車いすランナーをはじめ障害を持ったランナーが気持ちよく参加できるよう条件整備を行い、参加者も増えるように取り組むこと。
52. 手話通訳士の資格を持つ県職員を採用・確保すること。
53. 盲ろう者用の通訳派遣事業の予算を増額確保し、必要な派遣事業に対応できるようにすること。
54. 地域密着型介護施設を他の市町村から利用する方々や、送迎する事業者の事務的、経済的負担を軽減するため、県が積極的に支援すること。
55. 繊維筋痛症患者への支援に取り組むとともに、県立中央病院に「いたみ外来」を開設すること。
56. 加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助を創設すること。
57. 県立中央病院をはじめ県内公立病院にタイムカードを導入し、未払い残業と長時間労働を是正すること。
58. 国民健康保険の国からのさらなる財政支援を求めるとともに、子どもにかかる均等割りの廃止、もしくは負担軽減を行うこと。
59. 市町村が独自に判断して行う保険料引き下げや、独自事業ができなくなる統一保険料の導入は行わないこと。
60. 国民健康保険料(税)滞納者への機械的差し押さえを行わないよう、市町村に働きかけること。
61. 生活保護相談窓口を、申請権を侵害することがないよう改善すること。
62. 県が発行する生活保護の「しおり」を改訂し、通院のための交通費支給を明記するなど最近の全国的事例、国の解釈を踏まえたものにすること。市町村にも改善を働きかけること。
63. 厚生センターの食品衛生監視員を増員し、食品検査体制を強化すること。
64. 県手話言語条例の普及のために予算を確保し、その具体化に積極的に取り組むこと。
65. 富山県美術館の障害者への案内の充実、展示ブロックの充実、階段の手すりの切断の解消など、バリアフリー化を推進すること。
66. 精神障害者の精神科以外の医療費助成については、重度とともに中度障害者も県単独医療費助成の対象とすること。
67. 県単独医療費助成制度における65歳以上の重中度高齢障害者の医療費助成を、県の責任で現物給付に変更すること。
68. 過疎化、高齢化の中で、地域力も減退しており、高齢者・障害者宅の除排雪作業に対する補助事業を拡大すること。
69. 女性相談センターの婦人相談員の増員と常勤化、正規雇用化をはかること。
70. とやま被害者支援センターの運営費補助金確保を国に要望するとともに、相談体制と運営費の充実をはかること。
71. 人口減対策、特に若者人口の定着のために、家賃補助、住宅補助の創設を行うこと。
72. 県内で取り組まれている子ども食堂の多くに、自治体からの支援が届いていない。新たな支援のあり方を検討すること。

(5)子育て支援の充実で実効性ある人口減少対策を

73. 子どもの権利条約にもとづく、「子どもの権利条例(仮称)」を制定すること。
74. 放課後児童クラブの指導員の処遇改善に取り組むこと。放課後児童支援員等処遇改善事業や、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の実施を市町村に強力に働きかけること。
75. ひとり親家庭の子どもの夏休みの放課後児童クラブの負担軽減は、所得制限をなくして、市町村が使いやすいように改善すること。
76. 県内保育士の正規雇用化と、処遇改善に取り組むこと。
77. 病児病後児保育の普及拡大に取り組むこと。
78. 政府がすすめる待機児童対策のなかで、保育資格のない保育士が配置できる事業所内保育所などの認可外保育施設であっても、資格のある保育士が配置されるよう働きかけ、支援すること。
79. 子どもの貧困対策に積極的に取り組み、全県的な実態調査と対策計画の策定に取り組むこと。
80. 県児童相談所の建て替え、設備機能の強化に取り組み、児童福祉司、児童心理司の増員を引き続き行うこと。
81. 少子化克服のためにも非正規労働者の正社員化の促進、労働者派遣法の抜本改正を国に求めていくこと。

(6)すべての子どもに学ぶ権利を保障する教育環境を

82. 国に少人数学級の実現を求めるとともに、定数改善計画の改定と、正規教員の大幅増を求めること。
83. 教育におけるデジタル化は、教育委員会の責任で現場と情報政策課との相互理解をはかりながら取り組むこと。
84. オンライン授業の推進にあたっては、教師たちの教材づくりの環境整備、ICT支援員配置などオンライン授業で発生する様々な問題に対処できるサポート体制の整備も行うこと。
85. 国に対し、学校司書、栄養教諭、栄養職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの定数化を求めるとともに、県独自にも大幅増員に努めること。
86. 教員採用試験の補欠合格者全員の採用をふくめ、新年度の正規教員採用を増やし、学級担任をふくめて臨時任用講師の欠員を必ず解消すること。
87. 県職員の定数改善計画のなかで、県立学校における教員以外の定数改善目標を掲げることはやめ、学校現場の多忙化解消に取り組むこと。
88. 教職員を増員し、多忙化解消に取り組むこと。部活動の休みの日を積極的に導入し、子どもと教員の休息を保障すること。部活動指導員の活用を積極的に推進すること。部活動の地域移行を、関係者の意向を踏まえ進めること。
89. 小中学校の臨時任用教員による学級担任を解消すること。
90. 小中学校の学校給食無償化に取り組む市町村に支援を行うこと。
91. 小中学校の事務職員採用枠を、県立学校とは別に設定し、短大・専門学校卒業資格者でも応募できるものとすること。
92. 県立学校における臨時任用職員のなかで、新年度、5年以上継続してその職にあるものが希望すれば正規職員として採用すること。
93. 学校図書館の図書購入予算を確保し、計画的充実に取り組むこと。
94. 特別支援学級の定員8人の引き下げと、教員の配置基準引き上げを国に働きかけること。
95. 小中学校の耐震化と、特別教室へのエアコン設置が一日も早く完了するよう、市町村を支援すること。
96. 県内大学にスクールカウンセラーの養成を働きかけるとともに、派遣を拡大すること。
97. 道徳教育の教科化については、生徒の評価には慎重に対応するよう働きかけること。
98. コロナ禍を機に、全国一斉学力テストの中止を国に働きかけること。
99. 18歳選挙権の実施をふまえ、高校生の政治活動の自由を不当に規制することがないよう、憲法にそった対応を県内高校に促すこと。
100. 県学校給食会が数値目標を持ち、県内産食材の使用拡大に積極的に取り組むこと。
101. 国立大学の運営費交付金削減に反対するとともに、大学での軍事研究を推進しないよう政府に働きかけること。
102. スクールソーシャルワーカーへの手当を増額するとともに、県内養成機関を確保し、人材の育成に努めること。小中学校への配置をさらに拡充すること。
103. 県立学校の図書館司書の正規化を進めるため、引き続き正規職員としての採用に努めること。
104. 高校再編対象4校に必要な教員数をしっかり配置すること。

(7)公共交通の充実と住みよい町づくりを

105. 新幹線建設費の地元負担と、並行在来線のJRからの経営分離のスキームの見直しを、引き続き国に働きかけること。
106. 並行在来線関係道県連絡協議会とも力をあわせ、並行在来線への財政支援の充実を国に働きかけること。旅客車両の充実に取り組むと収入減となる現在の貨物線路使用料の制度改善も働きかけること。
107. あいの風とやま鉄道の新駅設置、各駅のバリアフリー化、エレベーター設置を含む駅舎改善などに支援すること。トイレを車いす対応にするなど、改善を支援すること。
108. あいの風とやま鉄道の2022年度ないし、2023年度も運賃再値上げが先送りできるよう、県から支援を拡充すること。
109. JR西日本の無人駅構想について、地元に対する丁寧な説明と、無人化やトイレの廃止などを行わないよう再検討を求めること。
110. 城端線、氷見線のLRT化の検討にあたっては、JR西が赤字「枝線」を地元自治体に押し付けるものとならないようにすること。
111. 市町村バス、コミュニティバス、デマンドタクシーへの財政支援を強化すること。
112. 観光客の利用促進など、乗客確保に努め、県営渡船のサービス水準維持と運行継続に取り組むこと。
113. 音響式信号や歩道の点字ブロック設置などのバリアフリー化を進め、障害者にやさしい町づくりを推進すること。
114. 空き家対策を強化し、自治体が行う特定空き家の解体費用への支援を拡充すること。
115. 県の買い物困難者支援事業の対象を運営費にも拡大すること。
116. 県外からの移住・定住促進事業に関しては、移住者が地域になじみ定着できるよう、各年度の定着率も掌握し、困難解決のために市町村と協力して取り組むこと。
117. JR高山本線の富山駅発笹津・猪谷方面行の列車のうち、特に夕方八尾駅止まりとなっている3本について、笹津・猪谷まで延伸するよう働きかけること。
118. あいの風とやま鉄道の富山・東富山間の新駅建設については、駅東側とともに、西側についても駅前広場と駐輪場、アクセス道路への歩道空間確保を行うこと。
119. 国立公園の自然を厳格に守るこれまでの立山らしい観光スタイルこそ「世界ブランド」と位置づけ、立山黒部ホテル・旅館ハイグレード化推進事業は立山山麓や黒部宇奈月温泉地域などに限定すること。
120. 「立山黒部」世界ブランド化については、
①イヌワシ、クマタカの絶滅を招く恐れがある立山駅からのロープウェイ建設は、根本的に再検討すること。
②称名平から飛竜橋間の運行の電動車両は、環境に配慮した車両にすること。

(8)生活密着型・維持補修型の公共事業予算確保を

121. 県道の歩道空間確保、維持・補修、バリアフリー化のための予算を増額確保すること。
122. 橋梁の老朽化対策、計画的更新のための予算を増額確保すること。
123. 公共事業の優先度を明確にし、大規模開発は見直すこと。国道8号線豊田荒屋立体事業は凍結・中止し、別の方法で渋滞解消に取り組むこと。
124. 富山市中心市街地再開発事業は、民間の再開発ビルに多額の税金を投入するもので、地元商業者の活性化にはつながっていない。県からの補助金は見直し、地元商店の知恵をいかした富山らしい町づくりを支援すること。
125. 国土交通省による利賀ダムの再検証作業は、ダムの治水効果や地滑りの危険の再検証がまともに行われておらず、再検証に値しない。利賀ダムの本体建設は見直すこと。
126. 利賀ダム建設における大豆谷地区、利賀地区などの地すべり対策について、責任を負う者としてより厳しい対策を国に求めること。
127. 北アルプス横断道路構想を新総合計画から削除し、期成同盟会などと粘り強く協議すること。
128. 水橋高校の跡地活用策について、富山市に協力を要請し、早期に地元の要望を聞く作業に着手すること。
129. 蓮町の元県有地については原告側と十分協議して和解をめざし、買い戻して地域のために活用すること。
130. 富山市蓮町の旧クラレ宿舎は、浦辺鎮太郎作品で唯一残っている貴重な建物であり、産業遺産の一つとして保存すること。
131. 用水事故死ゼロに向けて、策定された安全対策ガイドラインに基づいてすみやかに実行力ある対応をとること。
132. 県営住宅の維持・修繕予算を増額し、住環境を改善するとともに、家賃の減免制度を積極的に周知・運用すること。

(9)防災対策の抜本的強化を

133. 志賀原発の敷地内活断層の可能性及び、周辺の断層との連動の可能性など、原子力規制員会の指摘を真摯に受け止め、北陸電力が志賀原発の廃炉を決断するよう働きかけること。
134. 原発から30キロ圏外の原子力防災計画を示すよう、国に働きかけること。
135. 原子力防災訓練への住民参加を大幅に増やし、避難訓練手順の説明をわかりやすく改善するなど、より実効性ある訓練に近づけること。
136. 北陸電力との間で、原発立地自治体と同水準の原子力防災協定の締結を急ぐこと。
137. 邑知潟断層帯、森本・富樫断層帯、砺波平野断層帯の被害予測を受けて、県西部自治体の防災対策を支援・強化すること。
138. 東大地震研究所による日本海地震・津波調査プロジェクトの調査結果を受けて、国の地震調査研究本部による評価が早急に公表されるよう、働きかけること。
139. 富山湾津波シミュレーション調査の結果にもとづく、市町村の津波避難計画策定を支援すること。
140. 木造住宅耐震化のため、耐震補強の補助上限100万円への引き上げを確実に実施するとともに、耐震診断とあわせて精密診断への補助も行い、耐震化を強力に推進すること。
141. 庄川河川の和田川との合流部整備について、国に早期の事業着手を働きかけること。
142. 河川改修・側溝改修など洪水対策のための予算を増額確保すること。
143. 自主防災組織の資器材整備への財政支援、防災講習会、訓練への防災士、防災アドバイザー派遣を拡充すること。
144. 警察犬の能力向上めざし、優秀な訓練士の確保、訓練場所の確保、委託・出動に対する謝礼の引き上げに取り組むこと。
145. 災害時避難要支援者の名簿化、個別避難計画づくり、福祉避難所の指定を強力に推進すること。
146. 災害避難場所に指定されている学校や公共施設を高齢者や日常生活困難者が不自由なく避難生活できるようにバリアフリー化を推進すること。また、コロナ感染対策を強化すること。
147. 避難所となる小中学校の体育館にエアコンを設置すること。

(10)豊かな環境を未来につなぐために

148. 「立山黒部」世界ブランド化推進会議の検討にあたっては、地元自治体や山岳関係者、自然保護団体などの意見を十分反映し、何よりも安全と自然環境保護を優先して検討を行うこと。
149. 立山黒部ジオパーク協議会と協力し、水環境の保全に取り組み、世界ジオパーク認定をめざすこと。
150. ハクバサンショウウオの国内最大の生息地であることから、東岸地区の林道有峰線整備事業は中止すること。
151. 県立イタイイタイ病資料館の運営予算を拡充し、事業の充実、来館者増をはかること。
152. 富岩運河のダイオキシン類対策は、汚染土壌の浚渫、無害化部分を拡大する方向で取り組むこと。中島閘門下流の対策計画を早期に示すこと。
153. 生物多様性地域計画の普及、実施に積極的に取り組むこと。
154. 「再生可能エネルギービジョン」の目標は「とやまゼロカーボン推進宣言」に沿ったものに見直すこと。再生可能エネルギーの普及・拡大、地熱発電の可能性調査を推進し早期実用化をめざすこと。
155. 2025年までのできるだけ早い時期に、県有施設が使う電力を100%再生エネルギーで賄うとの決意で、富山県として「再エネ100宣言REアクション」に参加すること。

(11)日本国憲法に沿って住民が主人公の富山県を

156. 県内公立学校での非核平和教育を重視し、広島・長崎への派遣事業や、被爆者、被爆2世、戦争や空襲体験者の語り部派遣の規模を広げること。
157. 非核平和県宣言の具体化として、県としての企画を充実させること。「戦時下の暮らし展」の予算や開催個所を増やすとともに、富山大空襲や県内被爆者に関する展示や、ボランティア解説者の採用など、企画の充実をはかること。
158. 自衛隊の海外での武力行使に反対し、平和安全関連法制の廃止を国に働きかけること。
159. 富山大空襲記念事業に、富山市とともに取り組むこと。
160. マイナンバー制度の運用拡大を行わず、個人のプライバシーを守ること。
161. 住民税課税通知書へのマイナンバーの記載は、行わないこと。
162. デジタル化は、「個人情報とプライバシーを保護しつつ活かす」というルールをしっかり据えたうえで進めること。
163. 自治体デジタル化における「システムの標準化」が、市町村独自の住民サービス展開を阻害することのないよう国に求めること。
164. 男女の賃金格差を数値化して広く示し、解消を働きかけること。
165. 学校教育におけるジェンダー平等の取り組みを進めること。
166. 道州制をめざす動きに反対し、地方自治の拡充をめざすこと。
167. 河川国道事務所やハローワークなど、国出先機関の縮小・廃止に反対し、国の責任による住民サービス堅持を求めること。
168. 菅内閣による憲法9条改悪の動きに反対し、自衛隊が専守防衛の立場に徹することを政府に求めること。