2021年8月10日

「本来の『保守』」(枝野)、「まっとうな保守」(中島) って、日本共産党になるんだよね

投稿者: hi_sakamoto

下図は、8月6日の「毎日新聞」記事です。志位委員長が「日本共産党がめざす共闘とは保守との共闘であり、その保守とは立憲民主党のこと」という回答が記者にとっては意外だったようで、わざわざ囲み記事になったと思われます。

広大な保守層との共闘を目指すというが具体的にどの党との共闘を指すのですか?との問いに、志位委員長は、「そりゃもう、立憲民主党さん自身が『保守』とおっしゃっているのですから」と回答しています。また「沖縄県知事だった翁長雄志さんは自民党出身の保守本流でやってこられた人。そういう方々と共産党がオール沖縄の旗のもとで共闘してきた」と、真面目に保守の道を進んできた人たちとの一致点に基づく共闘が実際に力を発揮してきたことを紹介しました。(動画は13分40秒以降から)

枝野さんが考える「保守」とは、次のようなものです(『枝野ビジョン』から)

「保守」という考え方はフランス革命を契機に生まれた。フランス革命は、ブルボン王朝の旧体制(アンシャン・レジーム)を倒して共和制を敷いたが、その後の急進的で過激な改革が、恐怖政治を生み出したことへの批判から、近代「保守」という政治思想が生まれたと言われる。このような「保守」思想の土台になっているのは、「人間は誰もが不完全なものだ」という謙虚な人間観である。(『枝野ビジョン』p.25)

少子高齢化に伴う人口急減や、地球温暖化に代表される近代化の限界によって、社会は急激に大きく変わろうとしています。こういう時代に際し、様々な施策を通じて国民の不安を和らげ、急激な変化に対するソフトランディングを図るのが、本来の『保守』のあるべき姿である。(『枝野ビジョン』p.26)

また、枝野氏は、日本の特有の調和を重んずる「保守」風土を壊してきたのが明治以来の近代化であり、また近年の安倍菅政権の国家主義的な自民党政治であり、それらは「保守」の名に値しないと厳しく批判しています。

枝野さんの「保守」概念と完全一致するのが、政治学者の中島岳志さん

中島岳志さんは故西部邁氏を師と仰ぐ、根っからの保守と自称されている方ですが、「しんぶん赤旗」にもたびたび登場され、「とこんとん共産党」でも小池晃書記局長と熱く対談をしています。中島氏曰く、理想をしっかり掲げながら、現実と切り結んで、様々な考え方の人々との調整の上で漸進的に社会を改革していくのが「本来の保守」だとしています。日本共産党の近年の野党共闘における姿勢、つまり多様性を重視しながら一致点で政治を変えていくために共同をすすめる姿勢が、「保守」思想とほとんど一致するのだと強調されています。そして安倍・菅政権など今日の自民党や日本維新の会などは、「パターナリズム」(権威主義的、父権主義的)だとして厳しく批判をしており、これも上記の枝野氏と一致しています。

保守論客の中島岳志さんは、日本共産党が「保守の人間が考える理想像に近い」と

「自公政権が親米・新自由主義へと傾斜する中、それに抵抗する『保守』と日本共産党の立ち位置が限りなく接近していると主張している中島氏。絶対平和という強い指標をもちながら、そこに近づくために軍縮などの具体的政策を一歩一歩進めようとする『保守』の考え方を説明して、憲法9条をめぐる日本共産党の姿勢を『保守の人間が考える理想像に近い』と評価。『軍隊のない社会を目指しながら、軍隊が存在するもとでは、それに縛りをかけて、いかに戦争をやらない状況を英知によって保っていくかが大事だ』と述べました。」(「しんぶん赤旗」2018年10月11日から)

中島さんが北海道大学で教鞭を執っていた時から、農業関係者など「保守」と言われる人々から日本共産党が支持をされていたことを紹介しています(「とことん共産党」の動画17分過ぎから)。さらに、上述したように、中島さんの「保守」定義は、枝野氏の上記の記述と完全に一致しています。(動画の19分過ぎから解説あり)

 中島岳志氏の「まっとうな保守」、 枝野幸男氏の「本来の『保守』」 というのは、論理的にも、実際にも、日本共産党と一致する

志位委員長が先のインタビューで、共産党と保守とが共闘することは世界でもあまりないことで、「ユニークだ」と表現をしているのですが、内容をよくよく吟味してみると、保守と日本共産党の考えというのは実は親和性のあるものです。もっと言えば、共産主義=保守といっても良いくらいなんじゃないかと思います。それは、社会をラディカルに改革する理想をしっかり堅持しつつ、そのために現状をよく分析し、良いところを生かしながら、古いもの・悪いところを改善して、一歩一歩改革を積み重ねていくというのが、本来の共産主義の精神だからです。
マルクス『資本論』の中に次のような一節があります。「この弁証法は、現存するものの肯定的理解のうちに、同時にまた、その否定、その必然的没落の理解を含み、どの生成した形態をも運動の流れのなかで、したがってまたその経過的な側面からとらえ、なにものによっても威圧されることなく、その本質上批判的であり革命的である」この一文に、マルクスの社会改革の精神が込められています。

本気の野党共闘を実現する決定的条件は、日本共産党躍進の流れをつくること

「連合」が、日本共産党を自分たちとまったく相容れない存在だといって立憲民主や国民民主を揺さぶっています。これを受けて、国民民主の玉木氏が「左右の全体主義だ」などと「連合」忖度の発言してしまいました。

また、「保守」の反対物になったような自民党やネトウヨ、日本維新の会、公明党などから盛んに「共産党は暴力革命の党だ」などと攻撃をしてくるのですが、これは本来の「保守」の人たちと、日本共産党とをいかに切り離すかという策謀に他なりません。

これらの分断攻撃をはねのけて野党共闘を成功させるためには、立民の不甲斐なさや風見鶏的な対応を強烈に批判し反省を求めることでありません。立民やあるいは「保守」との人たちが日本共産党とともに手を携えることに確信をもって踏み出せるような空気を醸成することです。その最大の鍵は、国民の中に「野党共闘成功のためには、共産党を前進・躍進させることが絶対必要だ」という声を広げることです。日本共産党に躍進の勢い、風が吹けば、自民党などからの攻撃を恐れずに、多くの国民が躊躇なく共産党といっしょに行動することができるようになるからです。

「表立って言えないけど共産党さん応援しているよ。政権交代してほしい」…このような「表立っての応援」を阻む空気を変えてこそ、立民やその他保守の方々が日本共産党と堂々と手を結べるようになるというものです。

野党共闘を促進させ、本当に政権交代で政治を変えたい、そう願う人が一人でも多く日本共産党へ支持を寄せていただければ、社会を前進させる力になると思います。